制作過程「青い薔薇を持つ花嫁」

目次

元のお写真

青い薔薇のブーケが印象的な、笑顔の花嫁様です。

青い薔薇は自然には存在しません。
どうしても青系のブーケが持ちたくて、作っていただいたそうです。

サムシングブルー。
結婚式で何か青いものを身に着けた花嫁は幸せになれるという言い伝えがある通り、彼女は今ご主人と、もう大きくなったお子さん二人と幸せに暮らし、多くのお客様に愛されている経営者様でもあります。

他にも色んなアングルのお写真をいただきましたが、彼女の思い出のブーケが一番大きく映っているこちらを採用しました。

一層目:白黒で描く

支持体は綿布を貼った木製パネル、サイズはF3号(273×220mm)です。
濃い目のグレーの下地に、白と黒で肌の部分の明暗を描きます。

二層目:肌色を作る

イエローオーカーを溶き油で薄く溶き、肌全体に広げます。

写真がないのですが、その後赤系の色をグレーズ、ハイライト部分に白を載せて軟毛の筆でぼかします。

肌色を塗るのでなく、重ねていくうちに肌色が出来上がっていきます。

三層目:全体に色を乗せる

背景色は仮で、髪やアクセサリーはこの段階ではざっくりと塗ります。

薔薇は固有色で描き込んでいきます。

ヴェールは肌を描いた後、乾いてから半透明の白をかけていくため、この段階ではヴェールがかかっていない状態の肌という意識で描いています。

四層目:背景色、髪の毛流れ、ドレス、ヴェール、アクセサリー

背景を元写真に近いオレンジ系に決めます。
このあともっと燃えるようなオレンジになっていきます。

髪はまだ一本一本描かず、二層目でざっくり描いた中に大まかな毛流れ、艶をつけていきます。

ドレスの皺やくるみぼたん、ヴェールやアクセサリーの描き込みを進め、頬や耳に血色を足します。

ヴェールは透け感を意識して半透明の白を重ねます。

五層目:細部の描き込み

全体的にグレーズで色をかけ、深みを出します。

ざっくりとつけた毛流れに髪を1本1本描き込みます。
シニヨンの毛流れ、おくれ毛も。

アイブロウ、マスカラ、チーク、ハイライト…
メイクするように描き、ぼかします。

実際、この絵では初めて本物のメイクブラシを使ってみました。
シェーディング用のブラシで斜めのカーブを描くような形状だったのですが、絵画用のブラシにはない使い心地で、本当にヘアメイクさんになったような、新たな発見でした。

完成です。

タイトルをつける

タイトル候補は「Blue Rose」もありましたが、花嫁様の方にフォーカスしたタイトルにしました。

この絵は青い薔薇が印象的ではありますが、何より描きたかったのは、彼女の幸せ溢れる表情です。

描いていて、幸せな気持ちになれる絵でした。

目次