制作過程「はじまり」

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元のお写真


沢山お写真をいただいた中で、採用させていただいたのはこちらです。

小花柄のワンピースがとっても可愛く、背景もとっても素敵ですよね。

肖像画としては、お顔周りをトリミングして、ワンピースの小花柄はしっかり入る構図にしました。

一層目:白黒で描く

支持体は綿布を貼った木製パネル、サイズはサムホール(227×158mm)です。

まずは白と黒で明暗を描きます。

ワンピースの小花柄を転写する

しっかり乾かしてから(2週間ほど)、ワンピースの小花柄を転写。

二層目:薄く色を乗せていく

薄く溶いた絵の具をフィルムのように何層もかけていく「グレーズ」という技法で色を付けていきます。

これは、バロックパールのネックレスを途中まで描きかけてます。

三層目:背景を塗り、描き込み

背景はご希望のグリーンに塗りました。
描き込みも進めますが、まだそこまで細密ではありません。

四層目:描き込みを進める

髪やお顔の細部を描き込んでいきます。
三層目と一番変わったところは右目ですね。
影を入れて実物の目の形に近付けます。

血色を感じる色味を足したり、髪の描き込みも。
バロックパールも色味を調整。

五層目:遠近感を出し、細部を描き込む

顔の右側の方が遠くにあるので、半透明の白をかけて、顔の左側が手前に感じるようにします。
四層目で陰をつけた目尻も、存在感を弱くします。

ワンピースも同じく、薄く溶いた白を全体に塗っています。
プリント柄の服は敢えて強めの色で描いておき、後で薄く色をかけることで、一枚の布感が出る気がします。

首元のほくろ、顔周りの髪も描き込み、完成。

合計時間

5層なら、1週間乾燥させて次の層を重ねるにしても、制作日数の総合計としては5日?
…というわけではありません。

1層に何日もかける時もありますし、他の作品も並行しますので、やはり平均的に3ヶ月は見ていただきたいです。
量産よりも、1作にしっかり時間をかけます。

タイトルをつける

タイトル候補は色々あったのですが、最終的に「はじまり」と題しました。

彼女が希望を持ったまなざしで未来を見つめているようで、「何かが始まる」と感じたからです。

タイトルは、いつも悩みますね。

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