この記事では額縁のアクリル板・ガラス板について解説しております。
額縁にアクリルやガラスの板は必要?
大抵の国内の油彩額には、取り外し可能なアクリル板やガラス板がついています。
しかし以下のような考えから、アクリル板やガラス板はない方が良い、と言われる方もいらっしゃいます。
・鑑賞時に反射光や映り込みが邪魔にならない
・通気が良く、作品の乾燥を阻害しない
※油絵は表面的には乾燥していても、内部は数十年かけて乾燥すると言われています
海外の額は「縁」だけで、アクリル板やガラス板がないものが一般的だといいます。
これは「油絵のルーツは壁画。壁画は剥き出しで、アクリルやガラスのカバーなど必要ない」という考えだからだそうです。
- キッチンからの油煙が飛散する場所に飾る
- 絵のある部屋で喫煙する
といった場合にはカバーが必須でしょう(この場合、作品は無事でも額自体が油煙やヤニで汚れますので額自体のこまめなお手入れが必要ですね)。
アクリルとガラスの室内紫外線カット率
それ以外にも気になるのが紫外線です。
油絵は堅牢ですが、直射日光などの強い紫外線は変色や退色を引き起こします。
以下、素材別の室内紫外線のカット率です。
通常アクリル | 90% |
UVカットアクリル | 98% |
ガラス | 30% |
UVカットを謳っていなくても、アクリルの素材自体がUVをカットする性質なのです。
8%を重く見るかどうかですが、いくらUVカット率が高くとも直射日光が当たる場所に飾るのはお勧めできません。
そのような環境では、額自体にも劣化の心配があります。
日焼けしたくない人は、日焼け止めを塗っても帽子を被ったり、日傘を差したり、日陰を選んで歩いたり、そもそも日焼けしそうなシチュエーション自体を避けられますよね。
昔はガラスが主流でしたが、現在ではアクリル板の額縁が主流です。
アクリル・ガラスがあっても飾る環境に配慮する
絵画は温度変化の起こりやすい冷暖房器具の近くや、直射日光・高温多湿を避けて飾っていただくのが望ましいです。
水分・油煙・ヤニ・埃などは額がカバーしてくれます。
加湿器を使う部屋だったり、季節や環境によってはカビの心配もあるので、時々虫干しして下さい。
着物をたとう紙に入れて桐箪笥にしまっても、年に1〜2度は虫干しする方が良いのと同じです。
晴れが続いた日に額から出して陰干ししていただければと思います。
作品を出し入れされる際は、手の水分や油分にも気を付けて下さい。
額の役割
これまでに述べたように、絵画を額に入れる理由は装飾的な意味だけでなく、保護の役割があります。
油絵は額装せずとも鉛筆画や水彩画に比べると丈夫ですが、作品の保護を考えると額に入れるのがおすすめです。
アクリル板やガラス板でカバーするか否かだけでなく、万一の落下の際、剥き出しですと作品自体に傷がついてしまう恐れがありますので、縁だけでも保護されるのをおすすめします。
本記事が参考になれば幸いです。